Wednesday, October 31, 2007

2008年UIA世界大会とフィアット王国トリノのために...


2007.10.13

第3回目の2008年UIA世界大会国際学術委員会が開かれた。今回は大会本部となる新オフィスの事務開きとなる会議だ。今回の委員会のメンバーと共に提案してきた大会プログラムの内容がほぼ固まり、午前中はイタリア大会実行委員会からの報告を受けた。僕がアメリカ代表委員でエジプト人のTarek Naga氏からの後押しもあって提案したトルコ人作家でノーベル文学賞受賞者のオーハン・パミュック氏が基調講演を前向きに考えていることが伝えられた。アジアとヨーロッパの架け橋であるトルコ出身で国際的な人物の出席は多いに盛り上がることだろう。午後には、地元、トリノが企画する様々なプログラムのプレゼンテーションが行われた。なかでトリノの若手建築家たちが提案するYoung Architects Forumは彼らの世界トコミュニケーションを図ろうとする意気込みを感じた。やはり若者パワーは世界どこでも新鮮で気持ちがいい。こうしてあっという間に一日が終わり、僕たちは大会会場に予定されている「リンゴット」と呼ばれるフィアット工場跡に向かった。会場の視察だ。ここは、現在では再開発によってコンベンションセンターとなっており、屋上には、レンゾ・ピアノ設計のヘリポートが、フィアット社の伝説的テスト・サーキット上に王冠に飾られる巨大な宝石のようにその存在を誇張していた。でも、ぼくはサーキットに上り、夕日を見ながら同僚委員のJoseph Rykwertの記念撮影をしたり、チンコチェントの名で親しまれたフィアットの小型自家用車Fiat500型復活版のディスプレー展示を楽しんでいた。
夜は東京−トリノ文化プログラムを一緒に企画しているトリノの建築文化組織の創設者ロレーナとその仲間たちとの夕食会に参加した。9人の建築家たち、なかにはトリノ在住で元磯崎アトリエのプロジェクトに参加していたShinobuさんもいて、和やかな雰囲気でピエモンテ料理を満喫した。このような建築家の仲間たちが世界中どこにでもいることは、37年間建築の世界にいる僕にとって、これからのグローバル・アーキテクト・コミュニティが密接なネットワーキングを通してより親密な関係を築いていけることの証となった宴だった。

                                                         【GK】

Sunday, October 28, 2007

イタリア王家サヴォイ家の王子に遭遇する!




2007.10.12

トリノに到着し、12日はトリノ商工会議所の招待により会頭を表敬訪問しました。会議所は18世紀に建てられた市街地の大邸宅をオフィス使用していました。まるで映画に出てくるようなバロック様式の邸宅で、天井高は4メートルほどあるのではないでしょうか?会頭は小柄な紳士で確かフィアット関連の会長などを歴任された方だとおっしゃっていました。また、トリノは名古屋市と姉妹都市だということで、UIA2011年東京大会成功のために名古屋市長に応援を頼んでくださると意気込んでおられました。つぎはトリノ工科大学の付属研究所である「SITI」という都市計画研究所のコルシコ教授を訪問しました。教授は現在、トリノ市副市長をも務められていて、トリノの工業都市からデザイン都市への変遷に深く関わられておられるようです。コルシカ教授は駐日イタリア公使夫人のローラ・コルシコ・アマティさんのお父様です。来年のトリノ世界大会で、日本代表団へ無償でSITIオフィスを貸してくださるという素晴らしいオファーを出されました。これは2011年東京大会実行委員会(JOB)へ報告できるうれしいニュースです。JOB関連の訪問を終え、トリノ大会の企画である「Flows」という、ポー河の畔に並ぶボートクラブのクラブハウスを利用して、世界各国のパビリオンとするプロジェクトの現場に案内されました。僕が訪ねた歴史あるクラブハウスは河川敷に出現する夜の屋台飲屋街の真正面で市中心部から徒歩5分ほどの対岸にありました。
これも日本館として利用することが可能だそうです。さて、夕方の宮殿のオープンハウス(パレス!!)に行く準備のためホテルに戻りました。
夕方はバスで宮殿に向かいました。宮殿は静かな郊外の街にありました。到着するともうすでに宮殿前の広場では観光大臣のスピーチが行われていて、数千人のVIPゲストが集まっていました。しばらくして、イタリアを支配していたサボイ家の王子も来られているということが知らされました。王子は、国外追放されてから50年以上ぶりに、初めて国内へ公式に招待され、旧自邸(別荘だが)を訪問したのです。僕はミーハー的に王子を発見し、写真を撮ることに成功しました。今夜はヨーロッパ上流階級の世界をちょっと覗いたひとときでした。


                                                          【GK】

Friday, October 12, 2007

アルプス上空で



2007.10.11

さて、現在イタリアに向けての機内にいます。ちょうどアルプスの上空を飛んでいるところです。
3度目のトリノ訪問です。今回も2008年6月に開催されるUIA トリノ世界大会の国際学術委員会に出席するためにやってきました。もうメンバーとは顔見知りになり和気あいあいと2日間を過ごすことになります。今回の訪問は委員会のほか、今年から2011年に開催される東京世界大会まで継続的に進めていく「トリノ-東京建築文化プログラム」の打合せや、来年来日を計画しているトリノ商工会議所の会頭との面談なども兼ねています。
また、先週イタリア大使館でお目にかかったイタリア公使夫人の父上で建築家のCorsica教授との面談も予定されています。
そして、12日の夜はイタリアの王家であったサヴォイ家の宮殿の長期にわたる補修工事が終わり一般公開される記念レセプションがあるそうです。委員たちはこの宴に招待されています。楽しみです。

                                          
                                                         【GK】

スリランカではアジアの建築家たちが集まった




2007.10.11

最近、頻繁に出かける海外出張で出席する国際会議での僕の役目をお話します。時には日本を、時にはアジアを代表して会議に出席していますが、いつも心がけていることは、日本やアジアの建築界の諸問題をグローバルな視点をもって伝えることです。そして、諸外国の意見を聞き、その場で発信される情報を収集、解釈、分析し、アジア、日本の建築界が理解できる情報を持ち帰り正確に伝えることが自分に与えられたミッションだと自負しています。

明日からヨーロッパですが、その前に書き残していた9月の旅のまとめを書きます。

9月にはクアラルンプールで開かれたアガカーン賞授与祝賀式典に行ってきましたが、その後、ARCASIA Forum 14(9月15日〜20日)にも参加しました。
2日間のアジア建築家評議会 (ARCASIA) 理事会では韓国のK.C. Yi会長のもとでマレーシアのTan Pei Ingさん、バングラデッシュのMubasshar Hussein氏とともに副議長を務めました。とくに大きな問題はありませんでしたが、今後ARCASIAをアジア地域において建築家協会の連合組織として国際的にどのような位置づけをもつかを議論し、特に国際建築家連合(UIA)との関係などを念頭において地域の範囲を定義しました。変動するアジアに対して十分に有効な組織で有り続けることを目的として一丸となって活動していかなければならないと感じました。もちろん、各国の国内事情がありますが、グローバルな時代のなかで国内事情に内向的な視野から取り組んでいくのではなく、外向的なスタンスで解決していくのが必至だといつも思って活動しています。

2007年のARCASIA Forumはアメリカ建築家協会よりゴールドメダルを授与されたニューメキシコの建築家アントアン•プレドック氏を基調講演者として迎え、1時間余り50年にわたる建築家としてのキャリアを語って頂きました。スライドを交えた講演では、氏の力強い初期の作品から、近年の奇想天外、創造的な建築までを「思想家・夢想家」的なノリで近作などを紹介されました。そのほか、最近、国際舞台で人気上昇中の若手建築家たちも登場しました。日本からは手塚貴晴さん、韓国からはCho Minsukさん、タイからはDuangrit Bunnagさんが発表し、同時にシンガポールからは環境建築家の大御所Tay Kheng Sungさんが講演者として参加されました。僕もChoさん、Duangritさんのセッションのモデェレーターを務めました。
このような会議に参加していつも思うのですが、地元の建築家、学生たちにとっては貴重な体験であり、「伝える」ということの重要性を改めて認識しました。また、地元のホスピタリティは素晴らしく、担当者たちはとても親切で一生懸命になって僕たちに対応してくれました。もちろん、僕も様々なイベントや会議の開催に関わっていますが、同じような心こもったホスピタリティを提供していきたいと思っています。
ARCASIAの会合では、毎年、最後の夜の「フレンドシップナイト」がフィナーレとなります。この夜は、17カ国からなるARCASIAメンバー国の代表が自前のパフォーマンスを披露します。日本は浴衣、着物、じんべえ姿で「神田川」を歌いました。
仙田会長夫妻、古谷誠章一家、太田隆信夫妻などを含む日本チームは、みごと二等賞を獲得しました。ちなみに選曲は国広が担当し、衣装は仙田会長夫人が担当されました。来年のARCASIA ACAは韓国、釜山で開催されます。

                                                         【GK】